e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 74<>2003/03/26(Wed) 14:27<>74 わが国の国際的な経済の競争力を知っていますか<>わが国の国際的な経済の競争力を知っていますか

今、日経平均株価も1万円はおろか9千5百円台となり9千円も割るのではないかと
の予測もでている。政府に対して景気を上げるために早く大量の財政出動をするよう
に多くの政治家や経済評論家が叫んでいる。

しかし、いくらここで財政出動をしたところでそれは付け焼刃にすぎない。企業でい
えば借金を増やしてみてもつなぎ資金となってすぐに消えてしまい、また金を借りな
いと不渡りが出てしまう、という繰り返しになるだけである。

本当の国の経営改革をするならば、少々の時間をかけても日本の歪んだ状況を根本か
ら作り直さないと子供達の代に大きな禍根を残すことになる。そのくらい世界的に見
ると日本の経済は異常なのである。

個人所得は世界のトップレベルでありながら、労働生産性(GDPを就業人口で割った
もの)はG7の中でも最下位で全世界でも19位である。郵便局に国家予算より一桁
上の貯金がありそれが全く動かない。

 国民は世界的に最高の所得だけどあまり働かない(働きが悪い)。だけど貯金は一
杯あるから緊迫感はない。その貯金を国の特殊法人たちが蜜にたかった蟻のようによ
って舐めまわしている。株価が上がらないと困る証券系の評論家達が自分達の論理を
振りかざして景気対策論をわめいている。これが一口で言うわが国の現状である。

 さらにグローバルな視点で、主要49カ国におけるわが国の経済競争力を比べてみ
ると、総合的にはなんと26位である。1位はアメリカ、2位はシンガポールである。
つい9年前の93年にはわが国は他を圧倒して第1位であった。
 
 種目別に見ると“新規事業志向”と“開業のしやすさ”については最下位の49位
である。“ビジネスの効率性”においても30位である。“研究開発”だけは2位で
銀メダル。日本のメダル数はこの1個だけなのである。今や経済競争力の世界はスポ
ーツの世界よりはるかに下位にあるのだ。ちなみに前回のシドニーオリンピックの時
の日本のメダル数は世界で14位であった。

 わが国の企業の開業率は3.5%(アメリカは14%)、一方の廃業率は5.6%
(アメリカは12%弱)と廃業率の方が高くこれは一年で約6万社が消えていってい
るということである。それにしてもアメリカの産業界のダイナミックさは目を見張る
ものがある。

 このように経済のほんの一部を覗いただけでもわが国の経済は病に冒されこのまま
行けばやがてどうなるかは明白である。国民の痛みがどうのこうのの段階ではないの
である。5年くらいをかけてでも根本的な日本の経営改革を望みたい。新聞を読んで
もテレビを見てもこの日本の経済の事実だけは頭に入れておいてもらいたい。

 このような状況は中小企業でも全く同じである。“他国との競争力”を“他社との
競争力”に、“新規事業志向”を“わが社の新規事業展開”に置き換えてみればよい
と思う。大変な痛みを伴った対策をしなければならないのではないだろうか。

 金融機関から金を借りてつなぎ資金であっという間に無くすのではなく、経営のあ
り方を根本から見直し、借金をしなくても経営できる会社に向かって具体的な改革を
進めてほしい。

                    経営プロデューサー 吉岡 憲章

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