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<> 88<>2003/03/26(Wed) 14:40<>中国の領事館事件は他人事か<> ***中国の領事館事件は他人事か***


 この5月8日に中国の日本領事館に子供を含めた北朝鮮人5名が亡命を求め
て駆け込んだが、中国の警官に阻止・連行されてしまった。
その一部始終が撮影されテレビで連日繰り返し放映されている。

 あの場面を見るたびに、何とかわいそうで無残な事件かと心を痛める。中国
側の横暴は目を覆うものがあるが、領事館のスタッフ達の何と頼りのないこと
か、とつくづく思う。

 領事館員の他人事のような仕草やその後の対応の毅然としないさま(新聞情
報であるが)は、まるで極楽トンボのなれの果てを見るような感じさえする。
如何に理由をつけようと緊迫感がないことの言い訳としか聞こえてこないので
ある。

 これはまさに、企業競争の生き写しであろう。強力なライバルが法律や商道
を無視して、当社のお客さんを強引に引っ張っていってしまう。いくら抗議を
しても、当社の対応の仕方や少しばかりのミスを理由に「自分は悪くない。悪い
のはお前の方だ」と一方的に言い放っている。

 こちらは、会社全体(日本)が言いたいこともなかなか言えないほどの内弁
慶の上、担当部門(外務省)がこれまたプライドばかり高くていい加減なこと
ばかりやっている。社内には“敵の味方”かと思うくらいの連中(野党や一部
のマスコミ)もいる。

 こんな中で困るのはお客さん(この場合は亡命希望者や民主国家)だ。その
内にお客さんは当社を決して信頼しなくなるから当社の売上げは落ち、モラル
は低下し、破綻に向かって一直線ということになる。

 何とか経営改革をしたいが、見栄やプライドや内外からの批判が気になり、
満足な改革すら始められずに成り行きに任せているだけである。やがて最悪の
事態になるというのに・・・。

 中国の亡命事件に対する対応やその後の事態は、わが国が徹底した構造改革
をしないがために官僚のモラルも、国際的な発言力も競争力も低下し、舐めら
れた結果である。
 会社の経営改革も全く同じである。きりっと改革を進めないと、あなたの会
社でも、あの領事館員のようなぶざまな対応をしてお客様を逃してしまうこと
が日常的に行われているはずだ。それをトップは知らない状態が続き、やがて
破綻するということになる。

この事件は決して他人事と思ってはいけない。録画されていたために今回
はたまたま“報告がなされた”ということなのである。この機会に“灯台元”
を見直してみよう。

              経営プロデューサー  吉岡 憲章

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