e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 94<>2003/03/26(Wed) 14:45<>内段取り、外段取りと稼動アップ<>*** 内段取り、外段取りと稼動アップ ***
 経営指導を始めるに当たって、私は財務関係の診断だけではなく、現場の稼
動状況はどうかを確認することにしている。
しかし、経営者に「お宅の稼働率はどのくらいですか?」とたずねても、すぐに
答えが返ってくることは少ない。
 
 大体が「良くわからないけれども、まあまあ動いていますね」程度である。
これが装置産業の場合でも同様である。
中には、「どうやって稼働率を出すか分からない」と首をかしげる社長も多い
のである。

 このようなことは、大企業ではまず起こらない。毎日、機械ごと、ライン
ごとに稼働率が計算され、品質や能率と並んで大きな議論の対象となる。稼働率を
上げるために、朝礼時間をこれだけ短くしよう、なんて議論もでてくる。
現場における最重要テーマのひとつでもある。

 一方、中小企業では何台作ったか、何人来たか、幾ら売ったか等は大きな
関心事であるが、これが自分達の設備能力や保有工数をどれだけ稼動させた
結果なのか、などはほとんど頓着されないのである。

 したがって、数千万円もする機械がほこりをかぶって眠っていても
「しょうがない」で終わってしまうのである。
その一方で余り利益の上がらない、手数のかかる汎用機械が動いているので、
なんとなく仕事をやっているような気がしてしまう。

 工場の場合、“生産モデルの切りかえ”がロス時間を左右する。切りかえの
間は、機械もラインもストップしている。従って切りかえのための段取りを
いかにスムーズに行うかが稼働率アップのポイントである。

 ご承知のように、切りかえのための“段取り”には“内段取り”と
“外段取り”がある。
内段取りは、作業員が機械にプログラムをインプットしたり、刃物を交換したりする
ことをいう。外段取りとは、現場に切りかえ用の資材を支給したり、治具を手配したり、
図面を渡したりすることである。
 
 大きなロスは外段取りのまずさから発生し、小さなロスは内段取りの不手際の
積み重ねから起きてくることが多い。

 飲食業の厨房であれば、食材の手配や仕込みが外段取りで、注文に応じて鍋や
調味料を手元に用意するのが内段取りである。
このように、内段取り、外段取りは全ての仕事の稼動や能率を上げるための
前提となる。

 稼働率を上げるために、やむを得ず単価の安い仕事を取ってきて手空きを埋める
だけでは、ただ機械や人手が動いているに過ぎない。
大事なことは、その仕事を導入するに当たってのロスを如何に少なくして、
時間あたりの実単価をあげるか、ということである。

ぜひもう一度、現場の稼働率、段取りについて考えてほしい。
これが儲けに直接つながることになる。
 
                 経営プロデューサー  吉岡 憲章

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