e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 97<>2003/03/26(Wed) 14:48<>数字に弱い社長<> ***数字に弱い社長***

 “自分は経理じゃないから数字についてはよく分からない”と何の疑問も持たずに
発言をする社長を見ると、逆にこちらのほうが“この人本当に社長かな?”
と疑問をもってしまう。

 まず基本的には、経営=経理・会計ではない、ということを認識しなければならない。
経理や会計は経営の中のほんの一部にすぎない。

 “経営とは生産、技術、販売そして経理、総務、人事、その他会社の中の各機能を
有効に、かつバランスをとって、利益をあげる諸活動をいう”と私自身は定義している。
 
 従って、経営の代表者である社長は自社におけるこれらの各機能の基本的な働きや
仕組みについて、熟知をしていなければならない。生産についても、技術についても、
営業についてももちろん総務・経理についても同様である。

 経理・会計についても外部への経営情報の開示を目的にした財務会計はともかく、
社内の経営方針の決定や原価の改革や、リストラなどについてのいわゆる
管理会計について軽視をして、分からないでは経営ができなくなる。

重要な経営指標については絶対値はもちろんのこと、傾向や、アクションを
とることにより期待できる目標値までも把握をしていなければ経営はできない
のである。もちろん、概念的なものでなく“数字”として捉えていなければ、
上記経営の定義にあるように“各機能を効率よく使ったり、バランスをとる”
ことなんてできない。

経理は結果に対する分析が主であるが、同じ数字を使っても経営は未来に対する
戦略を練ることに狙いがある。

例えば、“売上高”という経営指標にしても、経理の立場では“これだけ売上げがあった”
ことを把握することが主目的である。一方経営では“その売上げをこれからどのような
戦略を使って成長させていくか”を練ることが主目的である。

 経営数字を掴んでいない社長の話は、概ねが一般論や形容詞の羅列に終始する。
それを聞いている社員達は、それぞれが自分達の認識する、しかも都合のよい方に
解釈する。従って経営方針が正しく伝わらないし、会社が一つにまとまらないことになる。

厳しい経営状況にある社長の多くは、経営数字を把握していないし、冒頭の
“自分は経理じゃないから……”と言い逃れする。
その都度私は“それでは貴方は経営者ではないから、辞任して製造部長になったら?!”
と申し上げることにしている。

もう一度“経営とは何か”ということを考え、自分なりに定義してみたらいかがだろうか。

              経営プロデューサー   吉岡 憲章

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