e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 107<>2003/03/26(Wed) 14:56<>お化け煙突を知っていますか?!<> ***お化け煙突を知っていますか?!***


 いざ経営改革を断行するんだ、と決心した経営者や経営幹部は張り切って改革の
ための対策の検討を始める。

 皆で額を集めて議論しあったり、ブレインストーミングをやってみたりとにかく
熱心なスタートである。
そのうち対策案が50も100も出されて、やがて“これは大変だ!どれから手を
つければよいか”とウンザリとしてしまうケースが多い。

 衆知を集めることはモラルアップも期待できるし素晴らしいことである。
しかし、ただ無闇に数だけ上げれば良いというものでもない。

私の知っているコンサルタントで、100も200も対策案を上げて悦に入って
いる人がいる。コンサルタントならこのくらい数を上げて自分を高く売り込むことも
少しは役には立つかもしれないが。
ただし、私なら枯れ木も山の賑わいとばかりに、数だけの目くらまし対策案を出す
ようなコンサルタントは実力のない証明だと軽蔑するが・・・。

したがって、これらの中から本当に効果が大きいものをいかに数少なく選択して
実行するかが大事である。“少しの対策で大きな効果”こそが腕の見せどころである。

 昔のことなので年配の方ならご存知だろうが、東京の下町に“お化け煙突”と
呼ばれる4本の高い煙突が立っていた。
 
隅田川を船で上るときや、道路を車で走っているとその位置によって4本立って
いる煙突が3本や2本に見えることがある。さらに全部が重なって1本になってしまう
こともある。そこで皆はこの煙突を“お化け煙突”と呼んでいたのである。

 このように自分の立つ立場や見る位置を変えることによって、4本にも見えるし
1本にしか見えない時もあるのだ。

経営改革のための対策も同じである。
例えば、人事リストラを考えた場合、経営者は“どうやって人件費を減らすか”に
ついて悩み、思いを巡らす。そのために人減らしはどうするか、給与カットは何と
言って社員たちに納得させようか…。悩みは尽きずあれもこれも、ということになる。

 しかしこの人件費削減について、お化け煙突が1本に見える対策がたった一つある。
それは役員報酬を徹底的に減らすということである。
それも社員に開示をすることである。

 これによって、社員達は“社長は本当にやる気だな”と思い、銀行もやはり
“本気だな”と判断する。その上削減した金額だけ会社の資金繰りは助かる。
三方一両得ではないか。 勿論社長の資金繰りは厳しくなるのだが、
それも手の打ちようはいくらでもある。

 こうすれば後は社員の条件変更でも、人事異動でも全員が前向きに協力を
してくれることになる。
このように対策のキーポイントは何かを見つけてその手を打てば、後はフォロー的
な対策で改革効果は出てしまうのである。

 “お化け煙突が1本に見えるところ”を絶えず念頭に置いて改革の手を打って
欲しい。これが効率的改革ということである。

                 経営プロデューサー  吉岡 憲章

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