e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 109<>2003/03/26(Wed) 14:58<>“何をやるか”で成否は決まる<> *** “何をやるか”で成否は決まる ***


 既に会社を経営して頑張っている社長も、これから会社を起こしたいと準備をして
いる経営者の卵にしても“何か良い事業はないか”と日夜思案しているはずだ。

 ところが、起業を目指している経営者候補達に対して商工会議所などで行なわれる
“起業セミナー”で講演すると“あっと驚く”ようなことに何度もお目にかかる。

 それは何かというと彼らが“自分のやる会社の事業”に対して、ほとんど他人事と
しか思えないほどの認識しか持ち合わせていない、ということである。
“なぜ、その仕事に取り組むのか”すらも“これまでの成り行き”程度のものであり、
まして“その事業にどのような特長があるのか”に至ってはほとんど頭の中にはない。

 つい先日テレビの人気番組“マネーの虎”を見ていたら全く同じような現象が再現
されていたのには思わず苦笑いをしてしまった。

 このテレビ番組は“事業をするための資金がほしい”人の計画に対して、
スポンサーが充分期待にこたえる計画と認めれば資金を現金で援助する、という
仕掛けになっている。ある若者が“カナダの物産をインターネットで販売するための
バーチャル・ショップの経営資金を出してほしい”というテーマで登場した。

その青年は大変カッコの良いセリフで情熱的に事業の計画を説明していたが、なん
となく地に足がついていないようだった。そこで、スポンサー側(実績ある経営者)
が“君はカナダに行ったことはあるのかね?”と聞くと、“金がないから行ってない、
しかしカナダへの思いは強い”と回答。

 すかさず他のスポンサーが“それではカナダの首都はどこだね?首相は誰かね?”
と聞くと、返事ができない。金がなくて行けないのなら、せめて本でも買って勉強した
らどうだ?基本的なことさえもわからず、口先と夢のような思い(イメージ)だけで計
画を立てていることになる。結局、彼は不合格となったが当然のことであろう。

 しかし、これを笑ってはいけない。多くの先輩経営者の中にも、これから現実に商
売を始めようとしている予備軍の中にも前述のように同じレベルの人が圧倒的に多い
からだ。

 中小企業の経営が厳しくなった原因は大きく分けて2つ。
1.過去少し良かった時に、(結果として)要らぬ事業に金を投資しすぎ、
それが現在の経営を圧迫している。
2.特長のない事業を工夫のないままに続けて需要低迷や
価格低減のあおりを受けている。

 いずれも“事業として何をするか”の選択や、その実行タイミングを
間違えたからである。
例えば不動産が儲かると思って投資をしてバブル崩壊の影響を受けたとか、
やらなければならない新商品や新事業をしなかったり、してもオンリーワン的特長が
ないためにお客様から受け入れられなかったり、ということである。

 このように事業の繁栄や衰退は“何をやるか”すなわち“特長あるオンリーワン事
業をタイミングよく展開する”かどうかにかかっている。
このことを、真剣に考え、企画すること自体には金がかからないのに。
大事なことは“あいつのやっていることは儲かりそうだ”ではなく、“自分がやろう
としていることがオンリーワンかどうか”である。

                  経営プロデューサー  吉岡 憲章

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