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<> 112<>2003/03/26(Wed) 15:01<>“現場を見る”と“現場を眺める”の違い<>***“現場を見る”と“現場を眺める”の違い ***

 “こうなっているはずだ”とか“これ以上は無理なようだ”というような議論が
会議で飛びかうことが多いだろう。議論の多くが“はずだ”、“ようだ”で終始して
しまう。このような推測論が社内で支配している。

 大事なことは、”よし、それなら現場に行こう“、”現場で確認しよう“と次のス
テップに入ることである。ここが問題が解決するか、しないかの分岐点となる。

 “現場(げんじょう)百回“という言葉がある。警察用語だが、刑事が犯人捜査を
する時には何度も何度も犯行現場に行って、何か証拠品がないか確認し尽くすので
ある。捜査の原点とも言える。

 稼働率、能率が悪く利益が出ない悩みを抱えている製造現場で、現場責任者であ
る役員が“皆一生懸命やっているのだ。これ以上はもう無理だ”との主張を繰り返
していた。しかも“自分が現場をよく知っているから、他の誰が来ても良くなる方
法は見つからないはずだ”と譲らない。周囲も現場を知らないので言うに任せるし
かない。

 そこで現場に行ってみた。ところがラインは“停滞品のパーキング”の状態。作
業員はピッチタイムどころかマイペースのマイウェイ。

 原因を前記責任者に聞いてみるとまるで外部に責任があるかのごとき“やらない
理由付け”の連続である。

 作業ごとのピッチタイムを測定するとMINとMAXタイムの間は3倍もある。作
業分析をすると標準作業以外の不規則作業(運搬や立ち歩きなど)が全体の2/3
以上ある。さらに前工程の不良が50%くらいあり、その手直しでラインは停滞す
る一方。10キログラム以上あるワークを毎日1千個くらい上げ下ろしする…こん
な事が山のようにある。これが稼働率、能率低下の原因である。

 このような“問題の要因”を探るのが“現場を見る”ということ。現場に時々行
って作業員に声を掛ける程度では“現場を眺める”ということである。前記の責任
者は“現場を眺めていた”のである。これでは現場を預かる身としては失格である。

“現場を眺める”程度なら、現場を見ていないも同じ。時間の浪費である。
製造現場でも販売現場でも、経営者は問題を解決することを狙いとした現場主義に
徹してもらいたいものである。
                   経営プロデューサー  吉岡 憲章

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