e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 118<>2003/03/26(Wed) 15:11<>商品を売るのではなく環境を提供する&売上げ至上主義から利益至上主義に<>★★発展編★★

***商品を売るのではなく環境を提供する***

 最近、駅付近や盛り場にはコインパーキングが目立つようになってきた。24時
間いつでも駐車ができるし、20分100円というように小刻みに値段設定がされて
おり、大変合理的である。

 一方、駐車場経営者や運営会社の立場で考えると、この24時間パーキングは単
なる青空駐車場に比べて効率は良いし、狭いスペースでも可能なために投資額も
少なくて済む。そのために“いかに立地条件のよいパーキング候補地を探すか”が
最大の問題であり、かつ難関でもある。

 株式会社コムズジャパンという会社がある。本社は東京の御茶ノ水にあり、
社長は吉野 昭氏。会社を創業してからまだ3年、ピカピカのベンチャーである。

 この会社はコインパーキングシステムのメーカーである。お馴染みのフラップ
タイプのストッパーから料金精算機までのすべてのハードやシステムを生産し販
売している。ただし吉野社長は“うちは機械を売っているのではありません。パ
ーキング開設場所の情報を提供しているのです”と言う。

 コインパーキングメーカーの中で、コムズジャパンは後発メーカーである。
単に“パーキングの設備を買ってください”と当たり前の営業したところで先輩
ライバルメーカーにはおよびもつかない。

 そこで吉野社長は考えた。“お客様が最も困っていることに対応しよう”。
駐車場運営会社の最も欲しいもの、それは前出のように“立地条件のよい駐車場
用地の確保”である。

 コムズジャパンの狙いであるコインパーキングの機械より、その機械を設置で
きる環境を提供するという営業方針がここに明確に誕生したのである。まさに
マーケット・インの考えそのものである。

当社の営業マンは徹底的に候補地探しに情報を集める。良さそうな用地が見つ
かると24時間そこにへばりついて交通量調査を行う。真冬の深夜でも、雨の日で
も彼らは現場を離れない。そうやってはじき出した稼働率予測はまことに正確な
ものとなり最大のセールス・ツールとなる。お客様である運営会社が喜ばないは
ずはないし、最高の信頼を得ることになる。もちろん、機械やシステムは自動的
にコムズジャパンの製品を使うということになる。
その結果コムズジャパンの売上実績は右肩上がりと元気に溢れている。

 吉野社長は“機械を売るんだと言う考え方だったら、ウチはもう無くなっていた
でしょう”と言う。この様な営業方針を現実に採っている同業他社は他にはない。
まさにオンリーワンそのものである。オンリーワンほど強いものはない。

 コムズジャパンのオンリーワン活動の詳細を知りたい方は、私の著書“小さな
会社が成功する法”(廣済堂出版)をお読みください。
      http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4331508633/
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★★改革編★★

***売上げ至上主義から利益至上主義に***

 機械設備のメーカーであるB社は山梨県にある。現在55歳のS社長は15年程
前にB社を創業した。もともとは機械設備商社の腕ききのセールスマンであったが
独立の夢を実現させた。

 業界でも評判になるほどのオリジナル商品を開発し、その結果B社も右肩上がりの
実績を残してきた。S社長も自信満々で意気軒昂、近い将来店頭公開を狙っていた。
 新規工場や開発費などの設備投資を強気で勧めてきた。積極的にTLO
(技術移転機構)とも提携し、将来の大飛躍を夢見ていた。

 しかし、ここのところ景気低迷にも原因があるが企業の設備投資意欲が低くなり、
その波がB社にも押し寄せてきた。売上が2年間連続して前年を大きく割り込んでいる
のである。社長の勘に頼っていた商品企画にも空回りするようになってきた。
勿論利益も出るどころか欠損を出すようになってきた。銀行も“これ以上融資は
出来ない”との強硬な姿勢に転換した。

 私に相談があったのはこんな状態のときであった。

私はS社長に次のことを提案した。
1.直ちにリストラを断行すること
2.確実な売上目標を幹部に指示すること。である。
 S社長は“リストラはしたくない。リストラをするといざという時に会社が伸び
なくなる。だから売上増加策を徹底して行いこの危機を乗り切りたい”との答えが
あった。

“社長ね。今がそのいざという時なのよ。このまま行くと近いうちにお宅は必ず
銀行から強制回収されるよ。だって確実な資金繰り計画を作ってみると、この先
の経常収支が大幅に赤で、先行きの見通しがないからね。間違いなく不渡りを出す
ようになると思うよ”
“でも先生、株式公開をするには売上をバンバンあげて押しまくらないと…。
銀行から貸してもらえないなら市場から資金を調達すればいいんだから”

“社長、売上が伸びているのならもうすでに伸びているはずよ。銀行が貸してく
れないレベルなのに市場から資金を集めるなんて甘いよ。社長が社員の売上げ
ばかり追求しているから、社員達は安売りして結局逆ざやの営業をしているじゃな
いか。社長現実から目を背けちゃいけないよ”
“いや先生、指示した売上目標の7割くらいしかやらないのだから、その分目標に
下駄をはかせとかなければ落ちるだけだ”

 B社の幹部や営業マンたちは社長の指示した売上目標に対して、表面上は社長に
話を合わせていても実際は“幻の目標”程度にしか考えていない。結局のところ
本当の営業目標が無いということになってしまっていたのである。

 社長もこの現実を認めざるを得なくなり、経営改革の断行に入った。その改革
ポイントは次のようなものである。

1.直ちに不要工場用地や福祉施設などの不動産を売却し銀行に返済することにより、
 総資産額を減らし自己資本比率を上げた。(財務リストラ)

2.従業員を220名から170名に削減し人件費を低減した。(業務リストラ)

3.再度採算性を確認し、5つの新規事業のうち3つを中止または保留することにより
 これ以上の出費を抑えた。(事業リストラ)

4.売上目標を前年並みとし、これでも利益が出るまで経費を抑える計画を作成した。
 (業務リストラ)

 この改革開始から10ヵ月後の決算で、S社は黒字決算をすることができた。銀行は
“必要があれば融資しますよ”と言ってくれるようになったが、社長は“いや今度
借りるときにはきちんとした経営計画書を作った上で借ります。これまでのようなムダ
借りはしたくありませんから”と言うようになった。

 私に向かって“先生があの時あれだけ強く言ってくれなかったら、わが社は今ごろ
どうなっていたか分からないですね。やっぱり利益至上主義の勝ちですね。
でもあの時は相当頭にきましたけどね”といって笑った。

              経営プロデューサー  吉岡 憲章

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