e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 141<>2003/06/17(Tue) 14:22<>顧客の事業計画を盗め & 金融対策編 (3)<><改革編>
***顧客の事業計画を盗め***

◆企業の営業形態には大別すると見込み型と受注型がある。勿論その併用もある。見込み型はメーカーや小売店に多い。受注型は下請けや商社などに代表され、顧客から
注文があってから仕入れや生産・工事などを手配する。したがってこちら側の希望に基づいたものではなく、あくまでも顧客が決定した計画に従うことになる。

◆だから受注型の企業では顧客からの情報が大事だ。というよりも命綱であると言っても過言ではない。そこで受注側の営業担当は顧客と接近して今後の動向を探り出す努力を重ねることになる。

◆受注型企業(下請けタイプ)の営業担当から“この仕事は受注可能です。大丈夫です”と報告があると私は“大丈夫”の根拠をとことん尋ねることにしている。しかし
次第にその“大丈夫”は“大丈夫と思います”、そして“受注できる感じがします”となってくる。上司である担当役員の大半は最初の段階でこの受注はAランクと思って
しまいそれ以上のフォーローをしない。よって受注は流れることになる。

◆Aランク受注の殆どは“受注できる可能性があるCランク”程度である。甘い経営姿勢の会社ではこのようなことが日常起きているからいつも売上げが計画に対して大きくズッコケルのである。

◆私が受注型企業を経営しているときには、主要顧客についてはその会社の事業計画書をくれるように要求した。したがって顧客の将来計画や動向はほぼ把握をしていた。
もし事業計画書の開示を拒否された場合どうするか(普通事業計画書は社外秘だから渡せないと言われることが多い)。私はどんな手段をとっても入手した。お庭番も当然
放つ。これができない時には受注をあきらめた。

◆受注企業は当然受注に命をかける。城(顧客企業)攻めのときに城の図面も兵の配置も分からないようでは戦に勝てない。このくらいの思いで顧客の今後の経営計画を手に入れればこちらとしては先手の勝負ができる。城を落とせる(受注ができる)ことになるのだ。

◆不況の続く中でちょっとした受注の可能性があれば顧客に尻尾を振って近づき、闇雲に受注をするようでは所詮“くず仕事”でやっただけ損する受注しかできない。ほ
んの少しの間受注を期待しないで“情報を手に入れる方策”を考えることだ。総合的に見ればそれで遅すぎることはない。


         経営プロデューサー  吉岡 憲章
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<金融対策編>
*** 銀行員に貸す気にさせるテクニック 3 ***

今回の紙面では、銀行内部の報告体制についての実情を書く予定であったが、少々大変な事態が発生した。いわゆる“りそなショック”である。自己資本比率が急激に低下して、公的資金の投入=国有化の道を辿ってしまった。企業でいうところの倒産である。詳細は新聞週刊誌等に譲るとして、今回は“りそなショック”が、中小企業経営にどう影響して行くのか考えてみたい。

新聞などでは、(りそな)がメインになっている企業が銀行倒産の煽りを受けて経営が危ない、と書かれている。このことも多分事実であろう。だが、こんなことばかりではない。もっと、中小企業経営者にとって心配なことがある。

自分の取引をしている銀行の株主構成をすぐに確認してほしい。金融機関は、銀行や生命保険会社を含めてお互いに株式の持合をしているのが実情である。取引銀行の株主の中に,(りそな)という名前があったら覚悟を決めて欲しい。銀行も企業だという考えに立つならば、親会社のりそなが倒産したならば子会社が影響を受けるのが当然である。

どんな影響が出てくるのか。もう、以前から吉岡先生のメルマガや本を読んでいる方は分かるだろう。資金回収、貸し渋り、貸し剥がしである。待ったなしで銀行はやってくると覚悟を決めることである。

経営者は、直ぐに行動に移る必要がある。当面は、手許流動性を厚くすること。りそなと関係ない銀行に預金を移しておくことも必要である。

一刻も早く行動に移し、銀行との連鎖倒産などないようにして頂きたい。

      マネジメントコンサルタント  奥山孝司

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