e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 147<>2003/07/28(Mon) 16:10<>株価上昇でも安心できない & 金融対策編(9)<><改革編>
*** 株価上昇でも安心できない ***

◆この4月に株価は今年度の最安値(7607円88銭)を付けた。それがこの数日9800円台を回復し1万円の大台に迫ってきた。市場では株価の底入れは済んだとの見方も出ている。気の早い連中はこれで景気回復だと言っている。

◆株価は市場が決めることは間違いないが、景気が決める要素はかなり低いのが現実。わが国の株価は残念ながらアメリカの株価の変動とぴったりとした相関関係を持って
いる。今回の株価上昇も5,6月の外国人投資家が2兆円近く買い越ししたことが牽引車になっている。

◆この先の株価の予想を来年平成16年3月には12000円程度と多くの投資専門家が言っている。そうなるかどうかは私は株の専門家ではないから批評はできない。
しかし株価がこの程度良くなっても景気が本当に良くなることまでには行かないと思う。もちろん大企業や金融機関には追い風にはなるだろう。しかし中小企業には関係のない世界となるだろう。

◆なぜか。それは本当に景気が良くなる仕組みがわが国にはまだ少しもできていないからである。上場企業のこの3月期連結決算は1384社中245社も最高益を出した。これまでならば大企業の経営好転が傘下の中小企業にも良い影響を与えてきた。従って大企業に続いて中小企業の経営状況も好転してきた。

◆しかし今回は少し違う。大企業の好決算はコスト削減、取引先の選別激化、人員のリストラが主体となっている。これはまさに中小企業の多くを犠牲にして成り立っていることになる。

◆国のレベルでも金融改革は進んでいるが、産業育成は遅々として進まない。特殊法人や官僚の天下りはほぼそのまま。目先の公共投資を政治家は叫ぶがまた族議員の利権に利用されるだけ。

◆では中小企業はどうするか。簡単である。“世の中の景気がどうあろうともわが社は右往左往しない”と決心することだ。少々景気が良くなるとマスコミがささやきだし
てもわが社の経営改革をわき目も振らずに進めること。景気が良くなりそうだからと改革の手綱を緩めないことである。

◆一部の仕掛けや世間の風潮によって痛い目にあったのがあのバブルである。これからは景気が良くなるだろうなどとは思わぬこと。横這いや右下がりであってもわが社が耐えられる、成長できる強い経営体質にすること、を中小企業経営者は考えなければならない。

        経営プロデューサー  吉岡 憲章
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***銀行員を貸す気にさせるテクニック 9***

今回は保証人制度について考えてみたい。同業者同士でお互いに保証人になることは間々あること。頼まれた時銀行に行って保証書に署名捺印をするがその時注意して欲しい。保証内容が単なる[保証人]なのかそれとも[連帯保証人]なのか確認して欲しい。ほとんどの方が銀行の言われるとおり深く考えず簡単にサインをしてしまっていると思う。

[保証人]と[連帯保証]には驚くほどの違いがある。[保証人]になった場合は実際にお金を借りた人が返済を出来なくなったときに(例えば破産などをしたとき)
初めて本人に代わって支払うもので返済順位は2番目以降になる。お金を貸した人はあくまで実際にお金を借りた人に返済請求をしなければならないのである。

次に[連帯保証]であるが、簡単に言えば実際にお金を借りた人から連帯保証人に請求されればいつでも支払わなければいけない制度なのである。実際にお金を借りた人が返済を少しでも延滞すれば、お金を貸した人が連帯保証人の方がお金があると思えば直接請求することも出来る制度である。なんと過酷な制度ではないだろうか。

残念ながら銀行取引の大部分がこの[連帯保証]になっている。いつ爆発するかわからない爆弾を持って生活をしなければならないという事実を覚えていて欲しい。

もうひとつ[連帯保証]で注意して欲しいことは、その保証が「根保証」か「普通保証」なのかということである。たとえば「普通保証」というのは500万円の借金の保証人になっていたとする。払えない場合は500万円の元金と利息を払えばそれで終わるのである。

しかし[根保証]はそうはいかない。500万円だけの連帯保証人になったつもりでも限度額が1000万円になっていれば1000万円の保証をしたことになってしまう。何が起こるかわからない世の中。自分がどのような保証をしているか確認をして欲しい。

多分、大部分の人がどのようになっているか判らないのではないだろうか。そういう場合は銀行に確認して保証関係のコピーを手許に置いておくことを勧めたい。少なくても事実関係だけは、きちんと把握しておいて欲しい。この程度の心の準備だけはしておきたいものである。

     マネジメントコンサルタント 奥山 孝司

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