e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 32<>2003/03/26(Wed) 12:27<>国の金融再建に思う事<その1><> ***国の金融再建に思う事***
                    <その 1>

此れまで31回にわたって、倒産とはどういうものか、会社を発展させる為にはどう
したら良いか等について述べてきましたが、最近の国や金融機関の経済政策に、思う
ところがあり2回にわたって主張いたします。
皆様にもぜひご意見、ご感想をいただき“中小企業経営者の声の輪”を大きくして行
ければと思っております。

1.銀行の不良債権の直接償却について

最近、新聞を読んでもテレビを見ても、くちを揃えたように、わが国経済の立て直し
の為には、銀行の不良債権を償却する事が最重要であると論じている。
その償却についても引当てではなく、直接償却でありそのために必要なら公的資金
(即ち税金)も用意すると言うような状況である。

直接償却をするとすれば、
1)債権放棄をする
2)債権譲渡をする
3)法的に会社を清算させる
というような方法を取らざるを得ない訳である。

これを我ら中小企業の立場から考えてみると、大変厳しいものがあるのは否めないと
思う。
先ず、債権放棄はゼネコン等の大企業だけが対象となり、中小企業の債権はとてもと
ても放棄の対象にはして貰えないだろう。借りるだけ借りて後は債権を放棄させると
言うような、借り得が許されると言うような事はとんでもない話で、中小企業の債権
も放棄の対象にすべきだ。

次に債権譲渡については、日本ではこの債権譲渡の市場が確立していないので、難し
いしましてや中小企業の債権が譲渡対象になることは稀有に近いだろう。
せいぜい○○回収機構とやらにぶち込まれるのがセキの山だろう。

最後の法的に清算、即ち会社を倒産させて回収不能債権として“落とす”と言う事で
あり、われら中小企業としては腕をこまねいて、倒産させられるのを、死刑囚の様に
“お待ちしている”わけには行かない。

以前に私自身も、連帯保証をしていたために、銀行から“いっそ自己破産をしてくれ
た方が、処理がし易くてありがたいのだが”と言うようなとんでもない申し入れをさ
れた事がある。
銀行の事務処理の為に自己破産など意地でもやるか、と頭を熱くしたおもいがある。

国および銀行としては、不良債権を処理することにより、国と銀行の財務上の粉飾を
綺麗にするとともに、銀行の貸出し枠を広げることによって、融資をし易くするとい
う筋書きだろうが、結局は銀行の経営再建の手助けと大企業優先の施策に偏ってしま
う事だろう。

また、マスコミで声だかにこれらを唱えている経済評論家は皆、銀行系や証券系の研
究所のお偉いさんやアナリスト達である。
言葉の端にチョコッと“中小企業のことも考えなければ”とオマケの様に言うのはま
だましな方である。
これらのエリート経済評論家達は、中小企業のことや倒産の悲惨さを少しでも知って
いるのだろうか。
また本当の経済発展は、付加価値を生む対策でなければ、効果は出ないと言う事を知
っているのだろうか。

銀行は特別だから…と言う事では決して解決出来ないだろう。
国民の95%は中小企業関連なのだから、全てが中小企業を中心にした考え方による
政策でなければ、国の繁栄や国民の幸福など無いのである。

少なくとも、中小企業にも債権放棄の道があるとともに、まじめに再建に取り組んで
いる中小企業に手助けが出来る政策を合わせて盛り込んで貰わない限りは、公的資金
の導入など決して賛成出来るものではない。

(以下次号)

   ★★スペースの関係で以下次号に掲載させていただきます★★

               経営プロデューサー  吉岡憲章

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