e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 36<>2003/03/26(Wed) 12:31<>それでも目指すオケラの道<> ***それでも目指すオケラの道***


経営改革指導先の会社の財務諸表を見ていると、目を覆いたくなるような経営内容の
厳しい会社がほとんど、と言って良いくらいです。
勿論、だから経営改革の相談をするわけですから、これは当り前とも言えるでしょう。

そのうちの幾つかを知り合いの会計士や弁護士に見せて、“貴方だったら、どのように
再建するか?”と聞いた事があります。
彼らは口を揃えたように、“これは直ぐに民事再生法か自己破産だ”と意見を述べま
した。

私の使命は、このような最悪の事態を回避する為にどのように経営の大改革を行い
自主再建をして会社発展をさせるか、と言うことですから、そう簡単に“民事再生
や破産”と言われると、弁護士や会計士と言う人達に“なんと経営者の気持ちが分
からないのか”と腹が立ちます。

しかし、一方で肝心の社長に改革について指導をしている過程で良く言えば“社長
の美学”と言うか、“懲りない人”というか、大体が似通った対応のパターンに出
会います。
それは厳しい内容の会社の社長ほど、同じような考え方や行動になります。

即ち、社長は自分の持っている資産を何から何まで全て会社の資金繰りの為に投げ
出している、と言うことです。
真面目な社長ほどスッカラカンで、それでもまだ親戚や知人から借りてでもお金を
作ろうとしています。
この様な時の社長ほど“貧乏”な人は会社の中に居ないでしょう。

そして、これだけつぎ込んで、“それでも破産ならそれも本望だ”と自分を慰める
意味も含めて呟きます。
しかし、無一文では破産すら出来ないのですね。自己破産をするにも数百万円の
お金が、しかも現金がいるのです。これではそれこそ夜逃げでもするしかない、
と言う事になってしましますね。

でも何といっても此れからが問題で考えさせられるところです。
つまりですね、そのうち、幸いにも銀行の融資がかろうじて受けられますと社長は
まるで“危機を乗り切った”かのように、それまでの“悲劇の主人公の役”を投げ
捨て、経営の改革に対する意欲も減退します。リストラも一時停止です。

大体がこれの繰り返しなのですね。
何回か此れを刳り返して、やがて段々と身が細りそして最も恐れていた最悪の事態
に落ちてしまうわけです。
それはまるで、絵に描いたように“スッカラカンのオケラの道”を目指すようにま
っしぐらです。

経営の改革は、どんな時でも手を抜いて良いと言うときはありません。
銀行から借り入れが実行され、ほんの少しでもゆとりが出来た時こそ、徹底的に改
革を断行することです。
もっと厳しい時は、社長は資金繰りの事しか考えられないのですから、“改革などは
本当はやってない”と思うべきでしょう。

そして、“これを手離す時は、ばんざいをする”という程度の再建資金をへそくりと
して、奥さんに預けておいて、万一の場合でもオケラにならないようにしておく事が、
責任を持って経営改革に取り組む事につながります。

               経営プロデューサー  吉岡憲章

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