e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 37<>2003/03/26(Wed) 12:32<>下請けは可愛いが一番<> ***下請けは可愛いが一番***


中小製造業の“営業の有り様”について今回は考えて見たいと思います。
ひとくちに製造業と言っても、その形態は様々であり一概に決め付ける事は出来
ない事を承知の上ですが…。

小なりと言っても、自分の商品を持ちオリジナル・ブランドで大活躍をしている
所謂メーカーもあれば、開発や設計・生産は得意だが相手先のブランドを利用す
るOEMメーカーや製造は得意だが市場に対する営業力がない為に受注生産で対
応する“下請け”まで、それぞれの形態によって営業の方向を考えなければ、効
率の良い商売には結び付かないでしょう。

製造業の殆どを占めるのがこの“下請け”で、これば部品加工業や製品組立て業
から建設業、印刷業そしてソフトの開発まであらゆる範囲にわたっています。

そこでこの大部分を占める下請け製造業の営業に対して、本屋さんに並んでいる
その道のハウツー本を読みますと、“下請けといえども、他社に負けない優れた技
術と品質とコスト力を持つことが、発展の為には大事である。”と原則論を述べ後
は経営者に任せる…と言った所で終わっているのが大半ですね。

下請け会社の経営の経験もない先生方では此れもまたやむを得ない事だと思いま
すがね。
少なくとも前述のような優れたセールスポイントを持っている会社ならもうとっ
くの昔に優良会社になっているわけですし、今更こんな事で悩む必要はないんで
すね。だから先生の言う事は役に立たない、と言う典型みたいなものです。

この経営の厳しい時に、営々と会社の繁栄を夢見て頑張ってきた経営者の殆どが
今この時に更に技術力を上げたり、精度を上げる為の投資をする事が出来ますか。
3ヶ月先の支払手形の決済さえ、不透明で資金繰りに悩んでいる大半の中小企業
にとって、更に技術者を採用出来ますか?
勿論中期的な観点から見れば最も大事なテーマに間違いありませんので是非とも
中期経営計画には具体的に入れましょう。

しかし、中小企業の下請け会社で、この様な時にカネを掛けないで確実に効果を
あげる方法がたった一つだけあります。
それは仕事の受注先から“可愛いやつ”と徹底的に思われる事です。

その為には、社長自身が毎日の様に受注先を訪問し、時には責任者に、時には担当
者に会って、先方の言う事に全て対応する事です。
但し全て対応すると言っても、それは全てを実行する、という意味ではありません。
出来る事は直ちに実行するのは当然ですが、出来ない場合はその旨を後できちんと
説明をし、将来の宿題にして貰う事です。

成果が出たら、すぐに報告しお礼を申し上げる事を忘れては行けません。
この様な受注先の責任者や担当者に対して敏感に応えると言うことが、“可愛がられ
る”という事に繋がってきます。
決して相手におべっかを言ったり、ましてや無闇に接待をする、と言うことでは有
りません。
それこそこの様な接し方は一昔前の営業の仕方でしょう。

これらの事は、今の経営の厳しさから見ても、一刻も早く受注先に認めて頂く必要
があるわけですから、“社長自身”が直接に営業第一線を回る事です。
社長がお客様の情報を肌で感じる事によって、“今我が社は何をしなければならない
か”がはっきりと分かる事でしょう。
そして、別れ際に次回の訪問の予約をしておくことです。

決して営業マン任せにしては何も始まりません。此れまでと同じです。
お金は掛かりません。さあお客様の所へ伺いましょう。そして昔の歌では有りませ
んが“貴方好みの女”ではなく“貴方好みの会社”、“可愛い下請け”になる事に徹
しましょう。

               経営プロデューサー  吉岡憲章

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