e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 39<>2003/03/26(Wed) 12:34<>自社の“決算書の姿”をもっと理解しましょうよ<>  ***自社の“決算書の姿”をもっと理解しましょうよ***


中小企業の多くの経営者が、自分の会社の決算書を驚くほど理解をしていません。
それどころか、自分は経理の事は分からないから、経理担当に任せてあるとか
税理士に任せているから良く分からない等と平気で言っています。

結論から申し上げますと、社長はいわゆる財務諸表について経理家さんのような
経理技術を理解せよ、という事では全く無く、財務諸表の根底にある“自社の経
営状態の真実”を常に見つめ、理解する姿勢が肝要である、という事です。

私はもともとは、電気関係の技術屋でした。従って、財務諸表等は最も遠い存在
と言っても良いくらいでしょう。
しかし、その昔サラリーマンだった頃、経営コンサルタントになりたかったので
絶対に必要だと思い、“決算書の作り方”とか“貸借対照表はこう見る”…と言う
ような本で夢中になって勉強をしました。

その後“経営体験のない経営コンサルタント”では全く意味が無いと考え、経営
の実体験をする意味で、下請け工場を創業しました。
いざ中小・零細企業の社長になってみますと、これまでサラリーマン時代に机上
で勉強した、決算書うんぬんと言う事などはすっ飛んでしまいました。

創業してしばらくは、試算表などは頭の中に無く、仕事を取り、納期に如何に間
に合わせて生産するかと言う事で、頭の中は独占されていました。
やがて、幾ばくかの時が過ぎ、ふっと経理担当の作った試算表を見て呆然として
しまいました。

それは真っ赤っかな赤字でした。此れだけ夜も寝ずに頑張っているのにこんな訳
はない、と心の中は納得出来ませんでした。
数字としては分かっても、経営的には分からなかったのです。
つまり、試算表の貸借や損益な載っている一つひとつの数字が、自分の行動に結
び付けられない訳ですね。

即ち創業1年程度のこのくらいの規模の下請け工場で、此処に出ている数字は、ど
のようなレベルのものなのか、この項目を良くするには、何をすれば良いのか、
この試算表を銀行が見た時どのように思うのか…
これらの財務諸表は一体“何を自分に伝えたいのか”、これらの資料と経営の真の
姿の間にどのようなギャップがあるのか、などの本質的なことが理解出来なかった
のです。

その後、自社も含めて、多くの決算資料を見ていて、経営の実態を正しく現してい
るような会社にめぐり合うことが少ないと言う事を痛感しています。
つまり、景気の良い会社ではかなり行き過ぎた節税(見方を変えると別名脱税?)
をした決算書であり、厳しい会社では厚いお化粧(同粉飾?)をしているのが殆ど
ですね。
不況の長引く最近では殆どが後者でしょう。

そもそも、実態をこのように表していない決算書ですので、此れをもとに経営をど
のように改善し、経営目標をどのようにするか、と言うような議論は空回りに終り
ますね。

まず、机の上にB/SとP/Lを置き、社長自身で該当する科目を“本当の経営の
姿”に近い数字に修正してみて下さい。
この場合の数字は丸めた概算の数字で結構です。
“本当の姿”は経理マンではなく、社長自身が一番良く知っているはずですから。

この点検を実際に行う事によって、財務諸表の数字の意味する事と経営の実態が結
びつきますし、改革の為に何をやらねばならないか、という事が自ずと分かる様に
なってきますよ。
此処まで来ますと、私の申し上げる“決算書の姿をもっと理解しましょう”と言う
意味を分かっていただけた事と思います。

社長の此れまでにやってきた事や、これから実施する経営改革の効果など、経営の
多くの事が“通信簿”の様に評価されるのがこの決算書や試算表です。
そう考えますと、とてもとても経理マンや税理士にお任せでは社長の仕事を放棄す
るような事になりますね。
社長は決算書を作る事ではなく、“使う事”が何より大事な仕事です。

          
               経営プロデューサー  吉岡憲章

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