e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 44<>2003/03/26(Wed) 12:38<>自分の商品を作る(下請けからの脱却)後編<>***自分の商品を作る(下請けからの脱却)***
                           
  <後 編>

★先週号(VOL 43)から続きます。

有望な候補が出てきますと、デザイナーがその場でラフスケッチをし、次までに
モックアップを作ってきます。
モックアップと言っても紙で作った物ですが。

ここまで来ますと、その商品の“オンリーワンの売りもの”は何かと言う事が、
明確に打ちだす為にどうするか、ということが商品具現化をする為の絶対条件と
なります。

その時、私達は超薄型のカードタイプラジオの開発をしていましたが、後発で
販売網の全く無い私達にとって、“薄い”というだけでは“オンリーワン”には
なれないと、思い四苦八苦していました。

丁度机に向かって“どうしようか”と考えていた時に、フト机上の電卓に目が止
まりました。まだ当時としては珍しいソーラー付きの電卓でした。
“これだー”と思いました。つまり乾電池ではなく、ソーラーを使ってラジオを
鳴らす“ソーラーラジオ”がその時始まりました。

ソーラーの微小電流で動作する半導体の開発や高価なソーラーを如何にコストダ
ウンした設計にするか、それでも如何に薄く作るか…
そんな悪戦苦闘のなかで試作が進みました。

デザインも例のデザイナーが頑張ってくれました。
如何に薄くみせるか、販促物にもつかえるように客層によって対応できる変幻自
在のデザイン、アーバンチックなセンスの導入など、私の要求を次々とこなして
行ってくれました。

しかし、“こいつはスゴイ!”と思わず叫びたくなるほどのモックを見ても、私は
決してOKを出さず、“良くはなったけどマダマダ”を繰返していました。(デザ
イナー君 ゴメンナサイ)
デザインに絶対なものは有りません。
妥協をしますとそれ以上の物は出来ません。これでもか、これでもかと追及する
事が大事と思います。
余談ですが、そのお陰で数々のデザイン賞を後ほど頂くようになりました。

販売についてですが、私達にオリジナルの商品を販売するような先は全くありま
せん。普通のことをやったのでは大して売れないなー、と言う事です。
そこで、“ヨッシャー、此れはアメリカから売って日本に逆上陸しよう”と思い立
ち、早速知り合いに輸出商社を探してもらいました。
セールス・ポイントとFOB価格の他に私の出した条件は“私どものブランドを付
ける“事だけでした。

やがて暫くして商社の社長から電話が掛かって来て、アメリカでエライ興奮してる。
何やらイニシャル3万台で以後月10万台で120万台買いたいという事だ。
相手の社長が直ぐ来ると言っている、と言う内容でした。

受話器を耳に当てながら、一体何が起きたか分からない気持ちで、話が終わって、
“ヤッター バンザイ!”と叫んだ有様でした。

お陰さまで、このソーラー・ラジオは200万台を超える好評を頂き、マスコミか
らも、ヒット商品として評価をしていただきました。
やがてこのソーラーはラジオからウォークマンや他の商品へと応用されて行きまし
た。
何はともあれ、わたしが、下請けからオリジナルブランドを持った瞬間でした。

即ち、メーカーになるには、大きなお金も販売網も初めからは要らないのです。
“社長の思い”とたった一人のオリジナル専任の技術者を投資する事で、それは必
ず実現が出来ると思います。

これからも、不況は長く続き、中小企業にはますます厳しくなるでしょう。
受注先の都合で左右される仕事をそのまま続けていけば、デフレそのままでしょう。
このピンチをチャンスととらえて、自分の努力がそのまま成果として現れやすい、
オリジナルの商品やサービスに挑戦して見ましょう。
                          (この項 完)

                 経営プロデューサー  吉岡憲章

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