e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 46<>2003/03/26(Wed) 12:39<>社長はお客をまわれ<>         ***社長はお客をまわれ***


前号“無理な売上目標は事故のもと”を始めとしてこれまでの各号で、経営改革を
するにあたって、売上の増加は決して望まない方が良い、と説明をしてきました。

これは経営改革戦略を立てるにあたっては、あまり当てにならない売上や“売上を
伸ばすんだ“と言う意気込みの段階のものを、戦略計画のベースに入れると経営の
改革に繋がらない可能性が体験上多いからです。
また、改革をせずに、“売上増という幻”に逃げ込んでしまうからです。

でも基本的には、売上は利益を確保する為の原動力ですし、売り上げなくして成長
はありません。

ではどのようにして売上を伸ばすか、と言う事ですが、方法としては例えば
1)広告宣伝戦略を展開する
2)販売組織を充実させる
3)市場のニーズを捉えた新商品の開発をする
4)ETC
等など、いずれも大事な事で、お客のニーズに合った商品、売り方、サービスをタ
イミングよく進めれば基本的に売上は伸びる方向にあります。

しかしこれでは一般論の段階で、具体的にどうするかが肝心な訳です。
ここで、社長の出番です。
商店はともかくとして、多くの中小企業の社長は会社の中にいるのが普通で、なか
なか外に出てお客様と会う事ガ無いのが現実です。

顧客からクレームがあっても、直ぐに私には分からないから“担当に変わります“
なんちゃって、直ぐに押し付けてしまいます。
下請けでありながら、発注先のあいさつ回りを営業マンに任せ、その報告を聞いて
お客の声が分かったようなつもりになっています。

営業マンが自分に都合の悪い事を報告する訳がありません。
発注先から“怒りの電話”が掛かって来てさすがに腰の重い社長が飛んでいって
見ますと、“お宅の営業マンはいつも納期の約束を果たした事が無い。もう信用でき
ないので、取引をやめる”と強硬であり、何度も何度も担当営業に言った、との事。

社長の立場から見れば、なーんて事が無い、生産スケジュールを調整すれば直ぐに
解決できる事で、担当者から見ると生産部長がなかなかOKしてくれないので、もう
諦めてフィードバックもせず、お客に言い訳を繰返していて、ついに堪忍袋の緒が
切れたと言う事でした。

ことほど左様に、報告というものはバイアスが掛かっている物なのです。
新商品の反応も、宣伝の効果も社長が直接顧客にあって“ナマの言葉”で、聞いて
見ることが不可欠です。
発注先の責任者はおろか、担当者の顔さえ知らないような下請けの社長がザラに
いるのです。
そのレベルで売上をどうするかと言うような事が分かる筈がありません。

そういう社長に限って、いつも工場やオフィスの中で、心地よく社員に文句を言
ったり、中の事ばかり見ているような、言い換えると“アナグラ社長”では売上
増などは有り得ません。

1週間のうち、会社にいるのは1日か2日で充分です。
あとは外に出て、発注先や問屋や末端の顧客の声を聞き、直ぐに自社の商品、生
産サービス、宣伝に反映させる事です。

この様にすれば、どうやれば売上増加をどうすれば良いかの具体策など考えなく
ても、はっきりします。
とにかくお客さんの“ナマの声”を聞いて下さい。

                 経営プロデューサー  吉岡憲章

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