e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 57<>2003/03/26(Wed) 12:49<>銀行に居留守を使う経営者<> ***銀行に居留守を使う経営者***

企業にとって銀行は生命線である。
現実に中小企業は銀行からの融資を基にして、会社を成長させてきたのであり、はたま
たこれが行き過ぎてしまい、今や借入の継続が無くては運転資金すらも回らなくなって
きている会社が殆どの状況である。

私の知っている大手の会社の社長で銀行に会うのがものすごく嫌いな社長がいた。
“いた”というのは、その事が大きな原因で銀行から見放されて、会社が破綻したので、
今は社長ではないのでそう表現した訳である。

彼は、昔会社を公開したときに主幹事の証券会社から“社長は銀行になど行ってはいけ
ない、用事があったら来させるようじゃないと良い会社にはなれない”と指導されたと
いう事である。
だから、自分は絶対に銀行にいかないのだ、と頑張っていて会社がどんなに危機になろ
うが銀行に行かないのである。

しかし、銀行というものは、会社が景気の良い時はうるさいくらいに“傘をさしてくれ
る”が、一度落ち込むとサット傘を引いていくのである。
これが怖くて会社は日頃から銀行と密接に“お付き合い”をしているのである。

この社長はこの辺のことが良く分からずに、主幹事の言いつけをしっかりと守っている、
というかその事を利用して銀行対策をサボタージュしているな、としか私には見えなか
った。

そのうち、担当役員がやむを得ずに金策の為に銀行に行きでもしたら、“さあ大変”
“銀行への出張禁止令”まで出す始末であった。

たまに、支店長が尋ねて来ると、秘書が“あいにく、社長はただ今出かけております”
と断らせてしまう。
支店長は“あそこにある車は社長のでしょ!?”と言いながら帰るしか無い。

やがて、その会社は経営不振となり、緊急融資を要請せざるを得なくなった。
その時、“融資するのは、会社と言うより社長に対してなんですよ、銀行から逃げる社
長には貸せません”とどの銀行からも冷たく断られた。
そして、その会社は破綻をした。

ウソのようだが、ホントの話。何故なら私はこの会社の中枢の役員だったのだから。
このことで、私は最後まで悩み、戦わざるをえなかったのだから…。
社長さん、嫌でしょうけど銀行には前向きに付き合いましょう。

                   経営プロデューサー  吉岡 憲章

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