e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 159<>2003/10/15(Wed) 15:56<>まず人員削減を伴わない人事リストラをしよう & 金融対策編(20)<><改革編>
***まず人員削減を伴わない人事リストラをしよう**

◆人事リストラの目的は単に従業員を減らすことにあるのではない。人件費を圧縮することにある。従って従業員の頭数を減らさずに人件費を削減できる方法をまず考えることが必要だ。こんなことが考えられる。

1.賃金・給与条件の変更による人件費圧縮
 わが国はこれまでの年功序列型の賃金体系を根本的に見直さねばならない社会になってきた。中小企業においてはこの年功序列に加えて経営者のさじ加減で賃金を決めてきたことが多い。
 
そこでこの機会に自社の賃金水準を業界や地域の賃金水準と比較して見る必要がある。世の中の水準を上回る場合はまず水準レベルに引き下げることを検討する。
仮に同水準にあってもある期間を区切ってでも賃金のカットを申し入れることが従業員の頭数の削減を抑えるためにも必要となる。

見直される賃金制度として次のような事項が考えられる
1)基本給の見直し・・業界水準、地域水準より高い場合是正する
2)基準外賃金の見直し・・家族手当、調整手当、住居手当、地域手当他の基準外
            賃金を廃止する
3)年俸制への切り替え
4)退職金制度の見直し・・終身雇用制度が薄くなってしているため廃止を検討する
5)賞与制度の見直し・・年収の調整機能的な意味が強いが今後は段階的になくなっ
ていく制度である。
6)企業年金制度の見直し

2.ワークシャエアリングの採用
 ワークシャエアリングというと実質的な賃下げ手法のように誤解されている。この本来の目的は労働力の効率的利用を目指すものである。結果として労働時間の短縮と賃金の圧縮効果が現れてくるようにする必要がある。
 
ワークシャエアリングを実施する前提として、綿密な職務分析による各部門の最低必要人員数や労働時間を算出する。次に現在在籍している従業員の最適性配置を行なう。これによって結果的な人件費削減効果が合理的、合法的に実現することになる。

3.残業管理の推進
 どの企業も社員の残業について何とか削減したいと思っているが、一方で必要悪のような感じで受け止めており残業削減対策に及び腰になっている。そこで中途半端な対応の結果として“つきあい残業”や“サービス残業”さらには“成り行き残業”などというようなものが発生してしまう。
 
思い切って“残業はしない、させない”との意識改革を、トップを始めとして幹部や担当者まですることから仕事の密度は上がっていく。これは単なる意識だけで終わ
らせるのではなく労働効率を上げるための仕組みや仕事や責任範囲の明確化などの対策をあわせて遂行することによって円滑に進むことになる。

        経営プロデューサー  吉岡 憲章
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<金融編>
***銀行員を貸す気にさせるテクニック 20***

前回、銀行から事業計画書を求められた会社はまだ見捨てられていないと解釈しても良いと申し上げた。逆に銀行から何も言ってこない場合はどうだろうか。

このケースは果たして良い結果なのか悪いのか非常に微妙で気味が悪い。もしかしたら突然の貸し剥しのために、銀行は調査をしているかも知れない。まずは同じ銀行と取引をしている人に銀行の動きを聞いて見ることも一つの方法である。

お金の貸し借りの原理原則から言えば、借り手である会社の方から貸し手の銀行に連絡するのが当然のことである。何も言ってこないから「ラッキー」だと思っていてはいけない。今少しでも気になったなら出向く準備をすることだ。

しかし,銀行に何をしにいけばよいのかが判らない経営者もいるかも知れない。そういう場合は会社の現況を報告しに行けばよいのだ。銀行は経営者の訪問に関して歓迎とばかりはいかないがそれなりの対応をしてくれるはず。

つまり銀行から何か言ってくる前に行動に移すべきということ。この時に作成した事業計画書を持参し,説明をすれば良いのだ。うちの会社は返済の遅れはないし,銀行にも協力しているから貸し剥しや金利の引き上げなどは絶対無いはずだなどと悠然と構えていてはいけない。

銀行から急に貸し剥しなどの提示がきたら、対処が非常に難しくなる。あくまで先手必勝だ。タイミング的には経営計画書が完成したら直ぐが良い。次に決算直後である。

今の時代利益を出すのが難しい。当然融資を受けている会社は、毎年決算書の提出を求められるが決算数字がマイナスの場合は、なぜ赤字となったか、今後どうするのかなど質問を受けることとなる。その時には経営計画書が効果を発揮することとなる。
9月決算の会社は私がこれまで述べてきたことに留意し準備をしてほしい。

 未来事業マネジメントコンサルタント 奥山 孝司
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<コンサルの視点>
公認会計士の独り言 − 「備えあれば憂いなし」

     「会計事務所は今まで何をしていたのか?」
冒頭からやや過激な発言ですが、実はこの発言は吉岡先生を頼って経営再建の依頼・相談に来られた経営者の方に、経営の現況を把握された吉岡先生が度々云われている一言なのです。(コンサルタントとして先生の横に居ります私も同業の会計専門家として「襟を正される」一言です)

会計事務所とクライアント企業とは、大抵の場合会社創立以来の付き合いで、それこそ会計事務所は「会計数字を通して会社の状況を的確に把握している存在」とお考えでしょう。
多くの場合はそのような関係にあろうかと考えますが(同業者としてやや贔屓目かな)、では何故冒頭のような発言になる場合があるのでしょうか。

会計事務所側の問題点
1.単に会計・税務顧問としてのみ存在し、経営面等に踏み込んだ付加的サービス提供は能力的・経験的に出来ないし,しようとしない。
2.会計事務所経営上、従来までの「会計サービスの提供」のみで「良し」とし(それだけで十分に食べていける)、付加的サービス提供(それなりの勉強が必要だ
から)に興味・関心がない。
3.例えば経営指導サービスを提供しようとする体制を一応は整えているが個人の能
力に負う所が大きい経営指導サービス等を真に提供しうるスタッフが脆弱ある。

クライアント企業側の問題点
1.会計事務所を「帳簿屋(単に帳簿・決算書を作ってくれればよい)」「税務署との窓口(税金を安くしてくれればよい)」としか考えておらず、経営指導などできるはずもないと考えている。
2.経営者が自己の能力・経験を過信するとともに「会計・経理」を軽視し、会計事務所の言に耳を傾けようとしない。

これらの問題点は、会計事務所・クライアント企業の一方にのみ原因がある場合(会計事務所に問題があれば、他の事務所に代えればいいとは考えますが)だけでなく、多くの場合はその歴史的経緯(例えば、会計事務所に問題があるから何も相談しなくなったとか)から双方に原因がある場合のほうが多いのでは,と感じております。

さて、複雑化している経済環境の下で会社経営を磐石の体制で行なおうとすれば、税理士・公認会計士、有能な経営コンサルタント、法律専門家としての弁護士のサービスが必要となります。が、中堅・中小企業では、経営コンサルタント・弁護士を顧問として常時抱える余力はありません。しかし、税理士・公認会計士の一人は契約しているのではないでしょうか。

上述したような問題点のない会計事務所であれば、専門である経理・税務面のサービス提供は勿論、経営コンサルタント・弁護士と同水準の専門的サービスは提供できませんが経営上・法律上の問題点の整理・各専門家への橋渡しなど十分対応可能なはずです(会計事務所だけへの支払で、弁護士等への追加的費用を節約することも可能となります)。

自分の会社が上記の問題点に該当していないか、いますぐ自己チェックしてみてください。もし、該当しているのであれば、会社にとって、経営者である貴方にとっての大きな「損失」となるのです。
つまり、追加的な費用を節約しつつ有能なプロ集団を抱えて経営していくのと同様の効果を期待出来る体制をとるのか、一人で自己の能力のみを信じ裸の王様然として無手勝流に経営していくのか、冷静に考えていただければお分かりのことではないでしょうか。

「有能な会計事務所との良好な関係」、それは会社の「発展」ともしもの時=「憂い」の防衛には不可欠な「備え」となることでしょう。

  未来事業コンサルタント・公認会計士  西山太郎

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