e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

160<>2003/10/28(Tue) 15:16<>人員削減の実行の前に & 金融対策編(21)<><改革編>
   ***人員削減の実行の前に***

◆人件費を削減するとなると、すぐに従業員の解雇に突っ走る経営者がいる。しかし従業員は品物ではない。人件費リストラにはステップを踏みながら進めていくことが大事だ。
 
◆経営改革の各種リストラの実行によっても所期の目的が達成できない場合や、明らかに人員過剰が経営を圧迫していることが証明できるような時に初めて人員削減を実施することになる。この際には労働法の遵守を前提とすることは言うまでもない。
 
◆しかし、人員整理を実行する前に次の点を検討し実行しなければならない。
1.新規雇用の中止
 退職者が発生すると厳しい経営状況下にあるにもかかわ らず、割合抵抗感なく代替
 要員を採用してしまうことがある。目先の現場の要望に 負けてしまうことによる。代替要員は社内から適材を探 すことを優先しなければならない。
 「社内に適材はいない」との理由をつけたがるが、顔も形 も分からない新規雇用者がそれに勝るとは考えにくい。 新規雇用を中止することだ。

2.削減後の業務体制を考慮
 人員を削減すると当然のことながら企業としてのパワー が落ちる。人員が少なくなったからといって単純に売上 げを落としたり生産力が削られたり品質に問題が発生
 してはならない。そこでこの人員削減を補完する方法や 体制を考慮しておくことが不可欠である。そのためには 次のような事項を検討する。

イ.パート・アルバイトの有効活用
ロ.派遣労働へのシフト
ハ.アウトソーシングの活用
二.社内組織の簡素化
ホ.業務合理化
ト.生産の自動化、労働効率の向上

3.人員整理の手段の検討
 中小企業において人員削減にともなうリストラ資金は無 視できない。したがって仮に希望退職者を発生させなけ ればならない場合にも、募集ではなく個別交渉による方
 が合理的だ。さらに退職金の支払も一括ではなく分割支 払をしなければならない場合も現実にはある。合理化に ともなう費用の検討を行い,取るべき手段の選択の参考 にする必要がある。

        経営プロデューサー  吉岡 憲章
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<金融編>
***銀行員を貸す気にさせるテクニック 21***

10月,11月と言えば経営者にとって,非常に頭が痛くなる時期だ。決算だからだ。9月決算が終わると税理士から決算の速報数字が出てくる。銀行からは“いつ頃決算書ができ上がるでしょうか。決算数字はどうでしょうか”と聞いてくる。

銀行が会社の方にいつ頃聞いてくるかということを注意してほしい。聞いてくる時期によって,銀行から見たあなたの会社の位置付けを知ることができる。当然ながら,9月下旬早々聞いてきたならば,あなたの会社は悪い意味で注目されているということになる。

銀行の支店では,決算書をもとに少なくとも年に一度,本部に企業の経営実態を報告することになっている。これがいわゆる、本部稟議というものである。手形割引や当座貸越契約を結んでいる企業に対して,今後も従来通りの条件で取引することができるのか,この決算書をもとに検討することになる。

多分,支店としては手形割引の枠を減らしたり,貸越の枠を減らさなければならない企業については早めに本部にお伺いを立て交渉を始めたいはずである。企業ともめることを想定しているはず。

手形割引の枠を減らすというのはいわゆる貸し渋りである。企業としては手形をもらっても資金化できないことになる。つらいことである。また,割引枠を減らされないまでも今まで割引をしていた銘柄でも今後は割引くことができないなど,割引銘柄を指定してくる可能性もある。

決算状況が悪いと自分で判断できるならば,とりあえず他の銀行に当るなど,窓口を広くしておく必要がある。また,取引先からの手形の受取を現金化してもらえるように交渉しなければならない。

とにかく,決算対策を軽んじてはいけない。積極的に対応して,苦境を乗り切らなければならない。次回は決算を無事に乗り切る方法を皆さんと考えていきたいと思う。

  未来事業 マネジメント コンサルタント 奥山 孝司
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<コンサルの視点>
       ***人を育てるコツ***
〜自主的に責任を持って仕事に取り組むために〜

人は「成長したい、貢献したい、認められたい」という3つの欲求を持っている。上司は部下の持つ欲求に答えて、部下を育てるという大切な役割がある。それが上位者であればあるほど、責任を果たしていかなければならない。

二人の上司がいる。一方では部下がよく育ち、生き生きと仕事をしているのに、他方ではそうでもない。ほぼ同じような能力の二人が、同じように熱心に仕事をしていて、なぜそうした違いが生じるのであろうか。

よく見ていると,一方は日頃から部下の言うことをよく聞く上司であり、他方はそうでもない。部下としては、自分の言うことを上司に聞いてもらえればうれしいし、自信も湧いてくる。さらに新しいことを考え、提案もしようと勉強するから、視野も広くなり、考え方も深くなる。

人は自らの意志で、自主的に責任を持って事に取り組むことにやり甲斐を感じ,従って成果も上がるし成長もする。人を育てる立場にある者にとって大切なことは、一人ひとりの自由な意志、自主性が発揮される環境をいかにしてつくり出すか,ということである。この実践が、日頃きちんとできているかどうかというところに、人を育てるコツがあるといえる。

このように部下を育てる過程において、上司が常に知識・技術の伝承を図っていけば、企業の人材という財産は、より大きくなっていくものである。いつの時代でも「企業は人なり」といわれ、部下に対する育成が重要であると叫ばれてきた。現代の企業はすべて激烈な企業競争にさらされている。ますます必要になるのが、量に代わる質的な人間能力の向上であることは間違いない。企業が生き残っていくためには「人の育成」は欠かすことができない。

  未来事業 マネジメントコンサルタント 石黒和男

Copyright (c) 2003-2004  未来事業株式会社 All rights reserved.   Produced by i-pocket