e-経営コンサルタント通信ではリストラ・資金繰り・経費削減などの問題を経営者の視点で吉岡憲章が経営コンサルティングいたします。

<> 78<>2003/03/26(Wed) 14:31<>債権放棄のもたらすもの<> *** 債権放棄のもたらすもの ***

 このところ、金融機関の債権放棄に関する話がまたぞろ沸き起こり出してきている。
“のどもと過ぎれば熱さを忘れる”の例えどおりである。

一昨年、国の補助金導入のもとに、銀行がゼネコン9社に対して巨額の債権放棄を
行い、世論から大変な批判をされた。同じ建設業界の中小企業や、他の業界の経営者
たちが受けた不公平感は大きな憤りとなっていったのである。

 その後、この債権放棄をしてもらったゼネコンはどのようになっただろうか。
青木建設は昨年12月に民事再生法申立、佐藤工業はつい先日の3月3日に会社更生
法を申請、まさに倒産の憂き目を見たのである。三井建設は住友建設と経営統合、さ
らには切羽詰ったフジタが存続事業をこの経営統合に参画させ、不採算事業は清算す
ることを予定している。また長谷工はメイン銀行から1、500億円もの金融支援を
受けざるを得なくなったのである。

 前述の債権放棄を受けた後の昨年9月の決算時において、これらの債権放棄を受け
たゼネコン(上位7社)の有利子負債(融資、社債など)は1,100億円も前年よ
り増えているのである。債権放棄をしてもらっても、なお一千億円以上も有利子負債
が増えるということは全くもって唖然としてしまう。
 
 一方、債権放棄を受けていないゼネコン(上位7社)の有利子負債はなんと1,3
70億円も減少しているのである。

 この事実を見たときに、安易な債権放棄は少しばかりの延命はするが、結局ますま
す体質は悪化し、最終的には破綻か経営再編にまで至ることがはっきりわかるのであ
る。徹底した経営改革をせずに、慢性的な借入れで資金繰りを賄っているような経営
がこれらのゼネコンの経営姿勢であったといっても過言ではないだろう。

 口では命がけで頑張っていると言いながら、実は無方針、無計画に日々の経営をし
ている中小企業の経営者も多い。いかに“債権放棄”という素晴らしい支援をしても
らっても徹底した経営改革を断行しなければ、前述のように破綻や再編に追い込まれ
てしまうのである.

 銀行借入をあてにするのではなく、まず足元の経費削減をとことん実施して、経営
を改革していくしか生き残れない今の世なのである。ぜひとも安易な銀行だよりの姿
勢は改めてほしい。
 
            経営プロデューサー  吉岡 憲章

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